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============================================================= おまけファイル 【注意】 ここから始まるストーリーは、まだラングリッサー5が決定する前に 立てられたプロットである。 そのため、実際のゲームとは無関係であることを予め宣言する。 また、まだ本編をプレーしていない方は、 ゲーム本編の楽しみが半減するおそれがありますので、 先に本編を完了させた後に読まれることを強く推奨します。 ------------------------------------------------------------------------------- ラングリッサーⅣ外伝 ~ギザロフの遺志~ 寂れたギザロフの魔導研究所。先の戦いでくずれ、今は残骸の山と化している。 ギザロフがカコンシス王国と連邦の合同軍に倒されてから、まもなく1年。 生前のギザロフが呼び出した魔獣が徘徊し、人々の立ち入らぬ禁断の地となりつつあった。 だが崩れた研究所はその機能を完全に止めたわけではなかった。 もちろん、中で培養されていたほとんどの素体は壊れ、死に絶えてしまったが、たった2つだけ、その機能を維持している物があった。 機械は、他で消費されなくなった魔動エネルギーを、自分の為だけにふんだんに使い、通常以上の速度で増殖、生成を完了させた。 『培養育成プログラム、正常終了。素体覚醒を開始します。』 残された一機の培養器から、静かな音を立てて培養液が抜けて行く。そして培養液が完全になくなると、そのハッチがゆっくりと開く。 『開発コード【Σ066】素体覚醒を確認。』 ハッチが開ききると、中から一人の少年が現れた。少年はゆっくりと辺りを見渡し、不安な表情を浮かべる。 「ここは‥‥どこだ‥‥?」 とにかく少年は、その場を離れ、外へと出てみることにした。 外へ出ると、自分が崩れた廃墟の中にいたことが判った。そして、その外は森であったという事も。 少年は知らない。ここがかつて、ギザロフが不死の魔導研究をすすめ、そして壮絶な最後を迎えた場所だという事を。 「畜生!ここは何処なんだ!?そして、どうして俺はこんな所にいるんだ?」 少年がえも知れぬ怒りを周囲にまき散らしていると、いつの間にか彼の背後に人の気配があった。 「誰だ!?」 それが当然であるかのように、彼は跳び退き、剣を抜き、気配のした方へ構えた。 いったい自分はどうしてそんな行動を覚えたのだろう?どうしてスムーズに剣を扱えるのだろう? 困惑しながらも、切っ先は気配の方へと隙もなく構えられる。 「やっと目が覚めたようね、Σ066。」 声を発したのは、くすんだ金髪をショートカットにした、つり目がちの少女だった。少女は少年を睨むわけでもなく、愛想を見せるわけでもなく、ただ淡々とした視線で見据えていた。その表情と同じく、声にも感情は感じられない。 「Σ066だって?」 「あなたの開発コードでしょ、Σ066。私はΛ052。ラムダでいいわ。」 「Σ066‥‥Λ052‥‥ラムダ‥‥?」 「どうしたの、Σ066‥‥シグマと呼ばせてもらうわ。どうしたの、シグマ。何をしているの?」 少年は困惑の顔をしたまま、動けないでいる。 「私を斬るの、斬らないの?斬らないのなら、剣をおさめて。斬るのなら、さっさと斬りなさい。」 「ちょっと待てよ!敵かどうかも判らない相手を斬るわけにはいかないじゃないか!」 「敵ではないわ。」 「ならば君は誰だ?」 「そうね。あなたの兄妹みたいなものね。」 「兄妹‥‥?」 「そう。同じ培養タンクの中で作られた存在。‥‥あなた、気付いていないの?それとも教育を受けていない?」 「ちょっと待てってば!一体何のことをいっているんだ!説明してくれ!」 「教育を受けていないのね。いいわ。教えてあげる‥‥‥。」 ラムダと名乗った少女は、こう前置きをしてから語り始めた。 ここが魔導研究所であり、少年が戦闘能力を高める実験のため、そして彼女が魔力キャパシティを高める実験のために連れてこられたと。 彼女のこの知識も、少年の戦闘に対する無意識の行動も培養タンクの中での教育によるものだということ。 そしてその実験を行っていた者がギザロフという名であること。 「そいつが俺の記憶を奪ったのか?」 「多分。その実験のせいで、昔の記憶がなくなっている。あなたも、そして私もね。」 「で、そのギザロフは何者で、何のためにそんな実験をしたんだ?」 「知らないわ。データにないもの。」 ラムダは感情のこもっていない声でさらりと言ってのける。 「ところで、シグマ。」 「そんな名前で呼ぶな!俺はそんな名前じゃない!俺の名は**だ。」 「自分の名前は覚えているのね。」 少年が自分の名前を名乗ったとき、少女の瞳に微かな悲しみが見えたようだったのは、彼の気のせいだったのだろうか? 彼が確認しようとする前に、少女の瞳からは輝きが失せてしまう。 見つめていると吸い込まれるような黒い瞳。それはまるで闇をのぞき込んでいるかのようだった。 「‥‥でも、名前に固執するなんて変。何と呼ばれようと、自分は自分。違う?」 「お前はいいのかよ、ラムダなんて呼ばれて。本当の名前があるんだろ?」 「知らないわ。それに必要ないもの。私は私だから。ただの識別子ならばラムダで充分だわ。」 「ヘンな奴‥‥。」 「ところで、これからどうするつもり?このままここにいるの?」 「そうだな。聞くところ、ここには俺たち以外は居そうにないしな。どこか大きな町にでも出てみるか?」 「ここから東の方角に連邦の王都があるわ。」 「それもデータって奴?」 「‥‥‥。」 「ま、いいさ。いろんな人に会って見れば、そのうち自分を知った奴に出会えるかも知れないしな。それでいいだろ?」 「反対する理由は、ないわ。」 「ヤレ、ヤレ‥‥」 こうして、少年と少女は廃墟となった魔導研究所を後にして旅に出たのである。 ------------------------------------------------------------------------------- 【キャラクター設定】 ●シグマ 開発コード《Σ-066》 直接的な戦闘能力を強化することが目的で作られた改造人間。 開花すれば、とてつもない戦闘能力を発揮する。 だが、その後遺症なのか、生前の記憶を失っている。 ただひとつ判っていることは自分の名前。 彼は自分の正体を知るために旅に出る。 外見はまだまだ少年だが、その四肢の発揮する力は大人を凌駕する。 また、彼の内には、プログラム「ギザロフの遺志」が眠っている。 このプログラムが発動すれば、ギザロフが成しえなかった、 「この世の全てを手に入れる」という野望の元、 彼の行動は悪へと走る(本人には崇高な目的と思われるが)であろう。 ●ラムダ 開発コード《Λ-052》 魔力キャパシティを高めることを目的として作られた改造人間。 彼女は魔力の潜在能力の他に、ある種の知識を教育されている。 だが、その為に主人公同様、記憶、そして感情を欠いている。 くすんだ金髪をショートカットにしている。実は、L-4の登場人物マクレーンの妹マリーである。 マクレーンと違い、実験の成功体であった彼女は小さな研究所から、こちらの大研究所へと移されたらしい。 主人公と旅をし、人々と触れあううちに少しずつ感情をそして記憶を甦らせて行く。 物語当初、主人公へは「同じ境遇の生き残り=仲間」としてしか見ていない。
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